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ネット書店課税という愚案

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ネット書店課税なるものを実店舗を持つ書店経営者達が要望したようだ。書店経営者のロジックでは自らは固定資産税を支払っているのに、ネット書店は固定資産税を支払っていないというものだ。まず、ネット書店は自社倉庫を所有しているだろうから、固定資産税は払っているだろう。貸し倉庫であっても賃料には固定資産税分が含まれていると考えるのが妥当だ。(でなければ貸主はとんだ馬鹿である。)実店舗を運営する書店であれネット書店であれ、固定資産税は払っているのだ。これで書店経営者の言い分が間違っていることが分かるだろう。

書籍の再販制度を維持するために、書店のポイント制度のような実質的値引きを禁止するように働きかけているようだ。再版制度は書籍価格を定価に拘束するものであり、これは消費者に不利益を与えている。また、日本は自由主義国家であるため、自由な価格設定を認めない再販制度は根本的に廃止されるべき制度である。この制度の維持をを書店経営者が要望するのは価格競争で大手書店やネット書店に負けないようにするために他ならない。競争から保護されたいという特権意識の表れであり自由主義経済の日本にはそぐわない。

さらに、消費税増税に備えて書籍に対する軽減税率も求めているようだが、これも書籍だけは需要が減っては困るというものだ。エゴの塊であり法の下の平等に反する破棄すべき提案だ。いまさら何か言う気にならない。論外である。

では、書店経営者はどのように提案すれば良かったのか?まず、ネット書店課税と固定資産税に関する要望では、固定資産税の減税もしくは廃止を要望するべきであっただろう。これであれば、公正な要望として賛同を得られたはずだ。所得税を払い、消費税(相続税の場合もあるだろう)を支払うことで手に入れた土地に課税することは二重課税といえるので廃止論は筋が通っている。

次に、再販制度はどうだろうか?これは何がなんでも廃止するべきなので、書店経営者を擁護することはできない。代替案はない。

最後に軽減税率はどうだろうか?これは消費税増税の延期もしくは中止を要望する形が良かっただろう。それが公正な形である。

 

書店経営者が全員、このように劣化しているとは言わない。独自の工夫、大手にはないサービスで消費者を引き付けている町中の本屋が存在する事は知っている。

ここで提案だ。書店経営者の皆さんは、ひとまずアマゾンやHonto、紀伊國屋ネット書店などを使ってみてはどうだろか?もしかすると不便さを感じることがあるかもしれない。その「不便さ」の解消こそ実店舗を持つ書店が生き残る道ではないだろうか?そのような点を思いつかない、感じないのであれば、その書店は潰れるしかないだろう。もしかすると時代の流れで実店舗の書店は滅びるしかないのかもしれない。しかし、それが市場というものだ。